低リスク商品と高リスク商品の違いとは。投資事例まで解説

2025.03.05

資産運用を始める際、多くの人が「リスクを抑えながら着実に資産を増やしたい」と考えます。しかし、投資にはさまざまなリスクが伴い、その種類や程度も商品によって異なります。本記事では、高リスクと低リスクの投資商品の違いを解説します。具体的な低リスク投資商品の運用事例についてもみていくため、今から投資を行いたい方は参考にしてみましょう。

高リスクと低リスクの投資商品の違い

投資を始める場合、「リスク」と「リターン」は把握しておくことが大切です。投資商品には、さまざまな種類があり、次のようにそれぞれが持つリスクレベルや期待できるリターンが異なります。

  • 高リスクの投資商品は、大きな利益を得られる可能性があるものの、損失リスクも大きい
  • 低リスクの投資商品は、安定したリターンが期待できるものの、大きな利益は得にくい

そのため、投資目的やリスク許容度に合わせて、適切な投資商品を選ぶことが重要です。ここでは、高リスクと低リスクの投資商品の特徴や違いについて詳しく解説します。

リスクとは何か

投資における「リスク」とは、投資した元本や期待されるリターンが変動する可能性を指します。以下のような リスクがある点を知っておきましょう。

  • 市場リスク:経済状況や市場全体の動向によって、投資商品の価格が変動するリスクです。景気の変動や政治的な要因、自然災害といったリスクがあります。

  • 信用リスク:債券の発行体や金融機関が財務状況の悪化によって、元本や利息の支払いが不能になるリスクです。企業の倒産や信用格付けの低下などが該当します。

  • 流動性リスク:投資商品の取引量が少なく、売買が難しい状況になるリスクです。たとえば、希望するタイミングで資産を現金化できない場合、損失が増加する可能性もあります。

  • 金利リスク:市場金利の変動によって、主に債券価格が変動するリスクです。金利が上昇すると債券価格は下落し、逆に金利が低下すると債券価格は上昇します。

  • 為替リスク:外国通貨で投資を行う場合、為替レートの変動によって投資資産の価値が変動するリスクです。円高・円安の影響を受けます。

例として、株式投資は市場リスクや信用リスクの影響を強く受け、高いボラティリティ(価格変動性)があります。一方、国債などの比較的安全性の高い債券は、信用リスクが低く、安定したリターンを期待可能です。しかし、金利リスクの影響を受けるケースがあるため、それぞれのリスクを冷静に判断しましょう。

高リスク投資商品の特徴

投資の世界では、高リスク・高リターンという言葉がよく使われます。この言葉は、リスクが高い投資商品ほど、投資に成功したときのリターンは大きいものの、失敗した場合の損失も大きいという特徴を示しています。

特徴: 高リスクの投資商品の特徴は次のとおりです。

  • 価格変動が大きい:市場の影響を受けやすく、短期間で価格が大きく上下する。ボラティリティが高ければ、短期間で大きな利益を得られる可能性もあるものの、逆に大きな損失を被るリスクも高まる
  • 高いリターンの可能性:成功すれば、投資額に対して数倍、場合によってはそれ以上の利益を得られる可能性がある
  • 専門知識が必要:市場の動向を読むための高度な知識や経験が求められる。たとえば、経済指標や企業の財務状況、国際情勢といった多角的な情報を的確に判断し、投資戦略を立てる必要がある

具体例: 代表的な高リスク商品の特徴や対策と留意点は、次のとおりです。

投資商品 特徴 対策と留意点
株式投資

・個別企業の業績や市場環境によって価格が大きく変動する
・新興企業の株式は特にリスクが高いが、成功すれば高いリターンが期待できる

・分散投資でリスクを抑える
・企業や市場の情報収集が必要

FX(外国為替証拠金取引)

・為替レートの変動を利用した取引
・レバレッジ効果により少ない資金で大きな取引が可能

・レバレッジにより損失も大きくなる可能性
・リスク管理と相場の理解が重要

暗号資産

・価格変動が非常に激しい
・短期間で価値が倍増することもあれば、大幅に下落することもある

・市場の成熟度が低く、規制やセキュリティのリスクがある
・技術的な理解が必要

デリバティブ(金融派生商品)

・オプション取引や先物取引など、複雑な商品
・レバレッジが効いており、大きな利益も損失も発生しやすい

・商品の仕組みが複雑で理解が難しい
・予想外の損失を被るリスクがある

不動産投資(特に海外や商業不動産)

・市場リスクや流動性リスクが高い
・海外不動産は為替リスクや法規制リスクもある

・資金流動性が低い(現金化に時間がかかる)
・市場の専門知識と法的理解が必要

低リスク投資商品の特徴

低リスク投資商品は、リスクを抑えつつ安定したリターンを得たい場合の選択肢といえます。

特徴: 低リスク商品の特徴は次のとおりです。

  • 価格変動が小さい:低リスク投資商品は市場の影響を受けにくく、価格の上下が少ないため、資産価値が安定している。市場の急激な変動による損失リスクを抑えることができる

  • 元本割れのリスクが低い:商品によっては元本保証もある。たとえば、定期預金や国債は元本が保証されているため、他の投資商品と併用しやすい

  • 安定したリターン:大きな利益は期待できないものの、定期的で安定したリターンが得られる。長期的な資産形成や老後の資金準備など、計画的な資産運用に適しており、将来の資金計画を立てやすくなる。

具体例: 代表的な低リスク商品の特徴と注意点は次のようになります。

投資商品 特徴 注意点
定期預金

元本保証:銀行にお金を一定期間預け、約束された利息を得られる
安全性が高い:預金保険制度により1,000万円まで保護される

低金利:低金利環境ではリターンが非常に低い
流動性が低い:満期前の解約は利息が減少する可能性がある

国債・地方債

信用度が高い:国や自治体が発行し、元本と利息の支払いが保証されている
安定した利息収入:固定または変動金利で定期的に利息が得られる

利回りが低い:比較的安全性が高い分、リターンは限定的。
金利リスク:市場金利の上昇で価格が下落する可能性がある

投資信託

分散投資:複数の債券や資産に投資し、リスクを分散できる
専門家による運用:プロのファンドマネージャーが資産を運用

手数料が発生:購入時手数料や信託報酬がリターンを減少させる
元本割れと価格低下のリスクがある:価格変動による元本割れと価格低下のリスクがある

MMF(マネーマーケットファンド)

高い流動性:いつでも換金可能で、普通預金より有利な利回り
安全性:短期国債やCPなど、安全性の高い短期金融商品に投資

元本保証ではない:投資信託の一種であり、価格が下落するリスクがある
金利変動の影響:市場金利の低下でリターンが減少する

Pool

手軽に始められる:日常の余剰資金を運用できる
ボラティリティがない:固定利回り2%が期待できる

カード発行には手数料がかかる:リアルカードを発行する場合は手数料が発生する
元本保証ではない:元本や予定分配金が保証されているわけではない

※税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。

具体的な低リスク投資商品の運用事例

ここでは、低リスク商品を含めた運用事例についてみていきましょう。なお、以下の事例はあくまで架空の想定です。

事例1:国債と株式の併用

30歳のAさんは、将来の子供の教育資金を準備したいと考えています。大きな損失は避けたいと考えており、リスク許容度は低めです。そのため、国債の投資比率が高く、株式は一部の資金で運用しています。

運用内容:

  • 低リスク投資:国債への投資
    国が発行する日本国債に投資しています。元本保証で、安全性が高い点も魅力です。

  • 高リスク投資:一部を株式投資
    資産の一部(20%)は、安定した大型企業の株式に投資しています。長期的な資産形成のため、低リスク資産で元本を守りつつ、高リスク資産でリターンを追求するスタイルです。

結果: Aさんは、低リスク商品で資産を運用しながら、高リスク商品で資産の成長を図っています。教育資金の準備を進めつつ、将来のための資産増加に期待でき、安定性と成長性を両立させています。

事例2:債権型投資信託と株式、Poolを併用

Bさんは、老後の生活資金を効率的に増やしたいと考えています。リスクとリターンのバランスを重視しており、リスク許容度は中程度です。そのため、債権型投資信託や株式、Pool を利用して運用を行っています。

運用内容:

  • 低リスク投資:債券型投資信託とPool
    資産の60%を専門家が運用する債券型投資信託に、資産の20%を Pool で運用しています。ボラティリティやリスクを抑えつつ、銀行預金より高い利回りを期待できます。また、分散投資により、個別の債券リスクを軽減している点も特徴です。

  • 高リスク投資:株式投資
    資産の残り20%を成長が期待できる国内株式で運用しています。

結果: Bさんは、低リスクと高リスク商品をバランスよく組み合わせることで、リスク分散を実現しました。老後資金を効率的に増やすことが期待でき、リスクを適切に管理した資産運用に成功しています。

※Poolの投資は預貯金と商品性が異なることを事前にご確認ください。大手銀行預金の利率やその他条件は各金融機関によって異なる場合があります。

低リスク投資商品の選び方と注意点

低リスク投資商品を選ぶ際には、自分の投資目的やリスク許容度を明確にし、適切な商品を選択することが重要です。ここでは、低リスク投資商品の選び方と注意点を詳しく解説します。

自分の投資目的を明確にする

資産運用の目的をはっきりさせることが大切です。以下のように、老後資金の準備や子供の教育資金、短期的な資金増加など、目的によって適した商品が異なります。

  • 老後資金の準備:長期的な運用が可能で、安定したリターンを得られる商品が適している。たとえば、個人向け国債や長期の定期預金など
  • 子供の教育資金:教育のタイミングに合わせて資金が必要になるため、資金の引き出し時期を考慮した商品選びが重要。たとえば、中期的な投資信託や学資保険など
  • 短期的な資金増加:近い将来に使う予定の資金を増やしたい場合は、流動性が高くリスクの低い商品が適している。たとえば、ネット銀行の定期預金や個人向け国債(変動金利型)、短期債券ファンドなどが挙げられる。ただし、大きなリターンを狙うのは難しく、流動性と元本割れリスクのバランスをしっかり見極めることが重要

リスク許容度を理解する

どの程度のリスクを許容できるかを考えることが重要です。投資にはリスクがつきものであるものの、低リスク商品でも元本割れの可能性はゼロではありません。

  • リスクとリターンのバランス:一般的に、リスクが低い商品はリターンも低い。高いリターンを求めた場合はリスクも高い
  • 余裕資金で運用する:生活費や緊急時の資金を投資に回すのは避ける。余裕資金で投資を行うことで、万が一の損失にも耐えやすくなる
  • 年齢やライフステージを考慮:若い世代は長期的な投資が可能。しかし、高齢になるほどリスクを抑えた運用が大切になる

リスク許容度を理解すれば、自分に合った投資商品を選びや無理のない資産運用が可能となります。

コストと手数料に注意

投資には手数料や税金などのコストがかかります。とくに低リスク商品はリターンが小さいため、コストが利益を圧迫する可能性もある点は知っておきましょう。

手数料の種類には、次のようなものがあります。

  • 購入時手数料:投資信託などを購入する際にかかる費用
  • 信託報酬:投資信託の運用管理費用として継続的にかかる費用
  • 売却時手数料:商品を売却する際にかかる費用

コストを抑える方法には、次のようなものがあります。

  • ノーロード投資信託を選ぶ:購入時手数料がかからない
  • ネット証券を活用:手数料が比較的安価
  • 手数料率を比較:同じような商品でも手数料を比較する

投資で発生する税金には、所得税と住民税があり、利息や配当に対して課税されます。そのため、NISAやiDeCoの活用を検討することも大切です。一定の投資額まで非課税となるため、税金面で有利になります。事前に手数料体系を確認し、コストパフォーマンスの高い商品を選ぶことが大切です。

まとめ

高リスクと低リスクの投資商品の違いを理解することで、自分に合った資産運用方法を選択できます。低リスクな投資商品を活用すれば、市場の大きな変動に左右されない資産形成が可能です。

投資信託や Pool などのサービスを利用することで、リスクやボラティリティを抑えた資産運用が可能です。自分の投資目的やリスク許容度を理解し、適切な商品を選びましょう。

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