未上場株を対象とする投資信託とは? メリット・デメリットから戦略的な活用方法まで解説

2024.12.24

投資信託は、分散投資の手段として多くの人々が活用しています。これまでの投資信託は、主に上場株式や債券を対象としていたものの、2024年に入り、「未上場株」を対象にした投資信託が注目を集めるようになりました。

投資信託を通じた未上場株への投資は、一般的な株式市場以上に成長を期待できる市場です。本記事では、未上場株を対象とする投資信託の概要からメリット・デメリット、効果的な活用法について詳しく解説します。

投資信託と未上場株とは

ここでは、未上場株を対象にした投資信託の概要についてみていきましょう。従来の投資信託の特徴や未上場株がどのようなリスクと成長の可能性を持っているのかを把握し、運用することが大切です。

投資信託の仕組み

投資信託は、投資家から集めた資金を専門のファンドマネージャーが運用する仕組みの金融商品です。多様な資産(株式、債券、リートなど)に分散投資し、リスクを軽減することを目的としています。個別の株式投資とは異なり、投資信託は少額から投資できる点も特徴の1つです。

従来の投資信託は、主に上場株式や国債、企業債券を投資対象としています。上場株式は、公開市場で取引されている企業の株式を意味し、売買が容易に行えるため流動性が高く、企業の情報も広く公開されています。

一般社団法人投資信託協会が発表している「数字で見る投資信託」の8月末のデータでは、投資信託は、公募・私募の合計で約300兆円の市場となっています。公募の数字は次のような投資比率でした。

  • 国内約106兆円
  • 海外約55兆円
  • 内外約52兆円

また、未上場株を取り扱う投資信託では、政策目標である10兆円ほどの「ベンチャー企業の成長資金の確保」を目的としている点も知っておきましょう。

未上場株とは何か

未上場株は、一般の株式市場で取引されていない企業の株式のことです。上場している企業の株式とは異なり、流動性が低く、売買の機会が限られている点が特徴です。また、成長の可能性に期待できる点はメリットだといえるでしょう。ただし、通常の投資信託と比較して、リスクが高いため、慎重な商品選定が必要です。

たとえば、スタートアップやテクノロジー分野の企業は、上場後に株価が急騰するケースも多いでしょう。しかし、情報が限られていることから、企業の業績や将来の見通しの判断が難しい点と倒産や株価下落のリスクが高い点がデメリットです。

また、代表的な商品には、レオス・キャピタルワークス株式会社が提供している「ひふみクロスオーバーpro」や野村アセットマネジメント株式会社と野村證券株式会社が提供している「野村日本新鋭成長株ファンド」などがあります。

未上場株を対象にした投資信託の概要

未上場株を対象にした投資信託は、投資対象が上場していない企業である点が特徴です。未上場株式は公開市場で取引されていないため、流動性が低く、場合によっては、株式を売却するのが難しい株式だといえます。

未上場株の投資信託は上場準備中の企業やスタートアップ企業を含むため、成長の初期段階にある企業への投資が可能です。そのため、投資に成功すれば上場後に大きな利益を得る可能性が高まります。未上場株を対象にした投資信託は、従来の安定したリターンを目指す投資信託とは異なるハイリスク・ハイリターン型の投資だといえるでしょう。

未上場株を対象とした投資信託に注目が集まる理由

未上場株の投資信託が注目される理由の1つに、グローバルなスタートアップ市場の拡大と成長があります。テクノロジーやフィンテック、バイオテクノロジーといった、新しい分野で急速に成長する企業が増えており、上場する前の段階でも大きな成長を見込むことができます。

2つ目の理由としては、未上場株に既存の上場株市場では期待できない成長率を求めている点も注目が集まる理由といえます。たとえば、上場企業の多くはすでに成熟したビジネスモデルを持っているため、劇的な成長が見込まれるケースは少ないといえるでしょう。しかし、未上場企業は創業初期や急成長期にあることから、上場後に大幅な成長を遂げる可能性を秘めています。

また、未上場株式市場は、市場の影響を受けにくいという特徴があります。市場に左右されず、独自の成長路線を進むことができるため、長期的な視点での投資が可能です。

未上場株を対象にした投資信託のメリット

ここでは、未上場株を対象にした投資信託のメリットについてみていきましょう。

成長の可能性に期待できる

未上場株を対象にした投資信託は、大きく成長する可能性があります。未上場企業は多くの場合、成長の初期段階にあり、これから規模を拡大していく可能性が高いためです。とくに、スタートアップや急成長中の企業を含む投資信託では、斬新なビジネスモデルや技術革新を背景に、急速に拡大するケースも予想されるでしょう。

未上場企業は上場すれば、株価が急騰するケースは多いといえます。また、未上場株を対象にした投資信託では、企業が上場することで得られる資金調達や市場の注目による事業拡大でもメリットを得られやすくなります。

分散投資につながる

未上場株を対象にした投資信託を資産として組み込むことで、ポートフォリオの多様化を図れます。ポートフォリオを多様化することで、異なる成長サイクルや可能性を持つ投資先に資産を分散できます。

また、未上場株を対象にした投資信託は、上場株と異なる市場要因に影響されるため、上場市場の変動に左右されにくい点が特徴です。たとえば、上場市場が景気や政治、国際的な要因に敏感に反応した場合であっても、未上場企業は外的要因を気にする必要がなくなるため、長期的な視野での安定した投資が可能です。

新興企業やイノベーションへの投資機会を得られる

未上場株を対象にした投資信託は、スタートアップ企業や成長段階にある企業に対しての投資となります。革新的な技術やサービスを持つ企業に投資できるため、上場企業では難しい市場や技術革新の発見も可能です。

また、上場企業にはない成長の初期段階にある企業へのアプローチを可能する点もメリットです。未上場企業の多くがニッチな市場や新興分野で企業活動を行なっており、上場企業と比較して、柔軟な経営判断や長期的な成長戦略を採用しやすい点も魅力です。

そのため、革新的な事業モデルを持つ企業が持続的に成長できることから、投資家に対しても高いリターンを期待できる可能性が高いといえます。

未上場株を対象にした投資信託のデメリットとリスク

ここでは、未上場株を対象にした投資信託の特有のリスクとデメリットについてみていきましょう。上場株式を扱う投資信託と性質が全く異なるため、デメリットに関してもしっかり把握する必要があります。

流動性が低い

未上場株を対象とする投資信託では、上場企業の株式に比べて売買の機会が非常に少ないため、資産をすぐに現金化することが難しいといえます。未上場株の売買が困難な場合、投資信託からの分配や解約がスムーズに行われないリスクを考慮しなければなりません。

とくに、未上場株の売却先を見つけるまでに時間がかかる場合、解約が遅れる可能性もあります。そのため、流動性の高い商品と比べると、資金の出入りがスムーズではないため、リスクは高くなるといえます。

情報の透明性が欠けている

上場企業は、法律により詳細な財務情報や経営情報の公開が義務付けられています。しかし、未上場企業は情報開示の義務が限られています。そのため、未上場企業に関する情報が不足しているケースは多く、企業の業績や将来の見通しを評価するのは難しいといえるでしょう。

また、上場企業と比べて情報の透明性は低いため、企業の業績や経営情報の信頼性に問題が生じるケースもあります。

投資信託でも高リスク高リターンになる

未上場株を対象とする投資信託は、高リスク・高リターンが特徴の1つです。未上場企業の中には、急成長して成功する企業もあるものの、事業が失敗し、成長しないまま倒産してしまう企業も存在します。

とくにスタートアップ企業の場合は、競争が激しい市場環境の中で成功するのはごく一部です。しかし、多くの企業は計画通りに成長できず、投資家が損失を被る可能性があります。

未上場株は、企業の成長が停滞した場合、投資元本を割るリスクが高くなります。未上場企業が業績不振に陥り、倒産した場合には、投資家が出資した資金を完全に回収できないといえるでしょう。

従来の投資信託との違い

ここでは、従来の投資信託と未上場株を対象とする投資信託の違いについてみていきましょう。

投資対象の広がり

従来の投資信託は、株式市場で取引されている上場株式や国債・企業債券といった安定した資産を投資対象としています。また、市場の流動性が高く、投資家がいつでも売買できるため、リスクが低めです。

そのため、安定したリターンを求める投資家にとって、上場株や債券に投資する従来の投資信託はニーズにあった金融商品だといえます。

対して、未上場株を対象とする投資信託は、上場前の企業やスタートアップなど、成長の初期段階にある企業へ投資します。そのため、ハイリスク・ハイリターンの性質を持っています。そのうえで、未上場株は流動性が低く、企業の成長が予測しづらいものの、成長に期待できる点がメリットです。

投資期間と戦略の違い

未上場株を対象にした投資信託は、長期的な視点での投資が前提となります。未上場企業は成長の初期段階にあるため、事業が軌道に乗ったうえで、上場に至るまでには時間がかかるといえるでしょう。投資家は、数年単位の長期的な視点で、企業の活動を見守っていく必要があります。そのため、短期的なリターンを求める場合には適さないものの、長期的な成長を狙う戦略を持つ投資家には有望な選択肢です。

対して、従来の投資信託は、比較的短期的にリターンを求める投資家にも適しています。流動性の高い上場株や債券を中心に投資しているため、経済の好転や企業の業績拡大に伴うリターンを比較的早く享受できます。

リスク管理の違い

未上場株を対象とする投資信託は、情報の透明性が低く、事業失敗のリスクも高いといえます。しかし、企業が成長し、上場することで投資のリターンが一気に増加する可能性もあります。そのため、リスクを取った場合は大きなリターンに期待可能です。

対して、従来の投資信託は、上場株式や債券など、安定した資産に分散投資します。ただし、リスクが低い分、リターンも比較的安定しています。市場全体が安定している時期には、一定のリターンを確保しやすいものの、急成長を狙うような投資ではないため、劇的なリターンを期待するのは難しい状況です。

未上場株を対象とする投資信託とPoolは併用しやすい

ここでは、未上場株を対象とする投資信託とカンムが提供する固定利回り2%Poolを併用するメリットについてみていきましょう。

※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。

Poolの特徴とメリット

Poolは、クレジットカードと固定利回り2%での運用が一体となっているサービスです。ユーザーは、手軽に資産運用を始めることができ、投資した資金を必要に応じてクレジットカードの利用可能額として使用できます。投資のハードルが低く、日々の支出や貯蓄を活用して、手間をかけずに投資を行える点がメリットだといえます。

また、投資した金額を運用しながら、還元率1%でショッピングにも使用できます。複雑な手続きや取引は必要なく、日常の支出や貯蓄を通じて投資を続けられる点もメリットの1つです。

※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。

Poolと未上場株対象とする投資信託の併用効果

Poolは、年間で固定利回り2%を期待できる投資です。対して、未上場株を対象とする投資信託は、成長企業への大きなリターンを狙えます。併用することで、安定性を確保しつつ、未上場を対象とする株投資の長期的な成長に期待できます。

たとえば、Poolで年利2%の資産を積み上げつつ、未上場株を対象とする投資信託で長期的な成長を狙えます。また、通常の投資信託と未上場株を対象とする投資信託に加え、Poolを併用すれば結果的に分散投資になるといえるでしょう。

全体的なリスクを分散しつつ、未上場株の成長を狙うことで、リスクを抑えた長期的な資産形成が可能となります。

※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。

未上場を対象とする株投資信託の今後の展望

未上場株を対象とする投資信託は、スタートアップ市場の拡大や新興企業への投資需要の増加に伴い、次のような要素から今後さらなる成長が期待されています。

  • 市場の成長予測と未来の投資機会に期待できる
  • 日本国内外での未上場株対象とする投資信託の進展を期待できる
  • 今後のリスクとチャンスを見据えた投資判断

とくに、世界的にスタートアップ市場が急成長しており、テクノロジー分野やバイオテクノロジー分野では、未上場企業への投資需要が高まっています。市場の拡大に伴い、未上場株を対象にした投資信託の市場規模も大きく成長するでしょう。

まとめ

未上場株を対象にした投資信託によって、スタートアップや急成長企業への投資機会を得られます。高い成長ポテンシャルを持つものの、流動性の低さや情報の不透明性といった特有のリスクも伴うといえるでしょう。

従来の投資信託と比較して、ハイリスク・ハイリターンの投資商品であるため、長期的な視野で投資を行わなければなりません。また、Poolと併用すれば、リスクを分散しつつ安定した資産形成が可能となります。

今後、グローバルなスタートアップ市場の成長が進むため、未上場を対象とする株投資信託は注目される投資商品となる可能性が高いといえます。未上場を対象とする株投資信託のメリット・デメリットを把握し、適切な投資戦略を持って運用を行いましょう。

今すぐダウンロード