人生の年代別に見る投資傾向の変化。事例まで解説!
2025.02.10投資は人生の各ステージで異なる意味を持ち、その目的や戦略も変化します。年齢やライフステージによって、リスク許容度、投資目的、選択する商品がどのように変わるのかを詳しく解説し、年代別の具体的な投資事例も紹介します。
20代の投資傾向:攻めと長期視点の投資が可能
20代は人生の中でも特に時間的な余裕があり、長期的な資産形成をする上で有利な年代です。年齢的な若さを活かし、積極的な投資姿勢を取ることも可能です。
リスクがチャンスに。時間が武器となる投資姿勢
20代のリスク許容度が高い背景には、以下の要因があります。
- 長期的な視野で投資を考えられる:20代は運用期間が他の年代に比べて長いため、複利効果を最大限に活用可能。たとえば、年利5%で運用した場合、20年間で資産は約2.65倍、40年間であれば約7倍になる。運用期間が長いほど、利息が利息を生む資産増加が期待できる。
- 経済的責任が重くない:20代はまだ家族を持っていない場合が多く、生活費も比較的低い傾向がある。そのため、投資に回せる可処分所得が確保しやすい。たとえば、住宅ローンや教育費などの大きな固定費がないため、収入の中から投資に充てる余裕が生まれやすい。
- 金銭的なリスク許容度が高い:高リスク・高リターンの投資にも挑戦しやすい環境にある。新興市場や個別株、暗号資産など、リスクは高いものの、リターンも大きい投資商品に挑戦しやすい。
たとえば、家賃や生活費を差し引いても毎月5万円の余裕があるとしましょう。そして、5万円を積立投資に充てた場合、年利5%の運用で20年後には約2,030万円の資産を形成できる可能性があります。
ライフプランの自由度が高い
将来の選択肢が広く、転職や留学、起業などさまざまな可能性に期待できます。ライフプランに合わせて、投資をスタートすることで自分の理想とするライフスタイルを実現するための選択肢を増やすことが可能です。
- キャリアの多様化:20代はまだキャリアの初期段階にあり、異なる業界や職種への転職が比較的容易。新しい分野への挑戦やスキルの習得を通じて、自分の可能性を広げられる。
- グローバル視点を身につける:留学やワーキングホリデーなどを通じて、国際的な視野を身につけられる。異文化での生活や学習は、個人の成長につながり、今後のキャリアにもプラスになる。
- 起業や柔軟な働き方を選択できる:起業に挑戦することも検討できる。20代は失敗してもやり直しがきく年代であり、リスクを取って新しいビジネスに取り組むエネルギーと時間がある。また、フリーランスやリモートワークといった働き方も試せる。
20代は人生の選択肢としても柔軟性の高い年代です。投資も手段の1つであり、自分の将来に向けた基盤を築くための選択肢として活用できます。
20代の投資事例
ここでは、20代の投資事例についてみていきましょう。リスク許容度が高く、運用する資産の選択肢も多い点は他の年代との大きな違いです。
事例1:投資信託と個別株の併用
25歳のAさんは、将来の資産形成を目的に投資を始めました。リスクを抑えつつも高いリターンを狙いたいと考え、投資信託での分散投資を狙い、毎月一定額をインデックス型の投資信託に積み立てています。また、個別株への積極投資も行い、 テクノロジーやヘルスケアといった興味を持つ成長分野の個別株に投資を行なっています。
結果として、投資信託で安定的に資産を増やしつつ、個別株で高いリターンを得ることに成功しました。投資信託が全体のリスクを抑え、個別株がポートフォリオのリターンを押し上げています。
事例2:REIT(不動産投資信託)とPoolの活用
25歳のBさんは、安定した収益と資産の成長を目指して投資を始めました。仕事や家事で忙しいため、手間をかけずに投資を行いたいと考え、REIT(不動産投資信託)とPoolを組み合わせた投資戦略を選んでいます。
国内外のオフィスビルや商業施設、住宅などに投資するREIT型の投資信託を選んだことで、安定した配当収入が期待できます。また、国内だけでなく海外のREITにも投資しているため、地域や物件タイプを分散させることで、特定市場の影響を抑えられました。そして、余剰資金を年利2%※の固定利回りでPoolで運用しています。
※税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。30代・40代の投資傾向:安定と成長のバランスが重要
30代・40代は、経済的な責任が重くなる時期であり、将来設計に関しても20代と比較すると自由度は低くなります。そのため、リスクを抑えつつ資産を増やす「守りと攻めの両立」が求められます。ここでは、30代・40代の背景と投資戦略についてみていきましょう。
30代・40代の守りと攻めとは。投資のリスク許容度は中程度
30代は人生の目標や家族の将来を慎重に検討する時期であり、住宅購入や子供の教育、キャリアの安定など、長期的な視野で物事を捉える視点に変化します。ライフプランに合わせて、投資をスタートすることで自分の理想とするライフスタイルを実現するための選択肢を増やすことが可能です。
30代はキャリアの中核となる時期で、専門性の向上や管理職への昇進など、仕事での責任が増えます。新しいスキルの習得や資格取得を通じて、自分の市場価値を高めることができます。
キャリアアップとライフプランの安定性か求められる
30代・40代のライフスタイルは次のような傾向がある点を知っておきましょう。
- 専門性の向上:20代からの経験を活かし、業界の最新トレンドや技術を学び続けることで、専門知識を高められる。職場での評価や信頼が向上するため、キャリアアップを目指せる。
- 管理職への昇進:リーダーシップやマネジメントスキルを磨き、チームの統率やプロジェクト管理など、新たな責任を担う機会が増加する。組織内での影響力や報酬も向上する。
- スキルアップと資格取得:業務に関連する資格や新しいスキルを習得することで、キャリアの幅を広げることが可能。たとえば、MBAの取得や専門資格の取得により、自分の市場価値を高められる。
リスク管理の重要性
リスク管理は、資産運用の成功において不可欠な要素です。とくに30代・40代は家族や将来の計画に伴う経済的責任が増えるため、慎重かつ効果的なリスク管理が求められます。
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資産の分散投資 異なる種類の資産や商品に投資することで、全体のリスクを軽減できる。株式や債券、不動産、投資信託、コモディティなど、複数の資産クラスに投資することで、1つの投資先の不調が全体に及ぼす影響を抑えられる。たとえば、各資産クラスは市場状況によって異なる動きをするため、日本国内だけでなく、海外の市場にも投資することで、地域的なリスクを分散可能。
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安全性の高い商品への投資 資産の一部を安全性の高い商品に投資することで、資産全体のリスクを抑えられる。以下のような安定性の高い商品に投資しておけば、市場の急激な変動や経済不況時にも大きな損失を防ぐことが可能。
- 国債:政府が発行する債券。元本と利息の支払いが保証されているため、リスクが低い。
- 社債:信用力の高い企業が発行する債券。比較的安定した利息収入が期待できる。
- 定期預金:銀行に一定期間預け入れることで、安定した利息を得ることができる。
リスク許容度の見極め リスク許容度とは、投資による損失をどの程度許容できるかを示す指標です。以下のような項目を把握し、どの程度のリスクを取れるかを明確にしましょう。
- 家計の収支状況の把握:収入や支出、貯蓄額、負債状況を詳細に確認し、投資に回せる余裕資金を算出する。
- 将来のライフイベントの計画:結婚や子供の教育、住宅購入、親の介護など、将来的な大きな出費を見込んで資金計画を立てる。
- 投資目的と期間の設定:老後資金の準備、子供の教育費用の積立など、投資の目的とそれに必要な期間を明確にする。
30代で検討したい投資商品
30代で検討したい投資商品は以下になります。安定性が高い商品が多いものの、現状で保有している資産によっても選択肢は変化するといえるでしょう。
- 投資信託やETF:分散投資でリスクを抑え、安定したリターンを狙う場合に適した商品。投資信託は多くの投資家から資金を集め、専門の運用会社が株式や債券などに分散投資を行う。ETFは、証券取引所に上場しており、株式のようにリアルタイムで売買できる投資信託。投資信託やETFは複数の銘柄に投資するため、個別株投資に比べてリスクが分散される。また、運用のプロが資産配分や銘柄選定を行うため、投資初心者も安心して利用できる
- 不動産投資:資産の一部を不動産に割り当て、安定収入を得ることを目指す。 賃貸物件からの家賃収入は、長期的な安定収入となる。また、不動産価格や家賃はインフレに連動しやすく、資産価値を維持・向上させる効果が期待できる
- 年金や保険商品:iDeCoや終身保険で老後資金を計画的に準備する方法もある。少額から投資できるため、シミュレーション結果を参考にしながら老後の準備を行う
30代・40代の投資事例
ここでは30代・40代の投資事例についてみていきましょう。
事例1:債券投資とPoolの活用
32歳のFさんは、リスクを抑えながら資産を増やしたいと考えていました。そこで、債券投資とPoolを組み合わせた投資戦略を選んでいます。債権に投資しつつ、Poolで日常のクレジットカード利用で貯まる1%のキャッシュバックを活用し、余剰資金を固定利回り年利2%※で運用しました。
※税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。事例2:暗号資産と定期預金の併用
32歳のGさんは、新しい技術に興味があり、暗号資産への投資を実施しました。 資産の一部を使ってビットコインやイーサリアムなどの主要な暗号資産を購入したうえで、残りの資産は銀行の定期預金に預け入れています。元本の安全性を確保し、万が一暗号資産で損失が出ても生活に影響が出ないようにています。
暗号資産市場の拡大に伴い、暗号資産投資で大きなリターンを得つつ、定期預金で元本を確保していたため、リスクを抑えた資産形成につながっています。
50代以上の投資傾向:安定を求める資産運用がメイン
50代以上の場合、若年層から行なってきた貯蓄や投資の結果がある程度把握できるため、安定性の高い資産運用が大切です。
守りの投資へ。リスクを抑えた資産運用
50代以上になった場合、これまで築いてきた資産を守りつつ、安心して生活できる資産運用が重要です。リスクを抑えた投資戦略で、安定的な収入を得ることを目指しましょう。
収入源の変化
定年が近づき、給与以外の収入源が重要になります。以下のような変化があると想定されます。
- 給与収入の減少:定年退職や早期退職により、定期的な給与収入が減少または消失する。そのため、生活費や趣味に充てる資金を確保するために、他の収入源が必要
- 年金収入への依存:公的年金は生活の基盤となる。現役時代の収入に比べると大幅に減少するため、年金だけでは生活水準を維持するのが難しいケースも多い
- 投資収入の重要性:配当金や利息収入、不動産からの家賃収入など、投資から得られる収入が生活費をカバーする役割として重要になる
豊かなセカンドライフを目指すために
ここでは、豊かなセカンドライフを目指すために投資がどのような役割を担うのかについて解説します。
- 生活費の補填:年金に加えて投資収入で生活水準を維持する。年金収入だけでは、現役時代と同じ生活水準を維持するのが難しい場合もあるため、配当金や利息収入、不動産収入などで生活費を補い、経済的な余裕を持たせる。
- 医療・介護への備え:将来の健康リスクに対応できる資金を確保する。高額な医療費が必要な場合に備え、資金を確保し、介護サービスや施設入居にかかる費用を見込んで資金計画を立てる。場合によっては、医療保険や介護保険を見直し、保障内容を充実させる。
- 次世代への継承:資産を効率的に次の世代に引き継ぐ計画を立てる。たとえば、贈与税の非課税枠を活用し、生前に資産を贈与する。自分の意思を明確に伝えるために、遺言書を作成しておく方法もある。
50代以上の投資事例
ここでは、50代以上の投資事例についてみていきます。
事例1:高配当株での安定収入とPoolの固定利回り
55歳のEさんは、定年退職が近づく中、退職後の生活資金を安定的に確保したいと考えていました。年金だけでは現役時代の生活水準を維持するのが難しいと感じているため、これまでの貯蓄と退職金を有効に活用して収入源を確保することを検討し、高配当株の運用をスタートしています。金融やエネルギー、通信といった異なる業種の高配当株を選ぶことで、特定の業界リスクを軽減しました。
また、市場平均を上回る配当利回り(年間4%〜5%)を提供する企業に注目し、総資産の50%を高配当株に投資しています。残りの50%は債券や定期預金などの安全性の高い商品に配分しています。
加えて、500万円をPoolの固定利回り2%※で運用することで、いざというときの支払い資金を担保しつつ、年間で10万円の運用利益を得られるようにしました。
高配当株では、年間約100万円の配当収入を得ることができ、経済的な安心感を得ました。市場の変動はあるものの、財務健全な企業への投資により、大きな資産減少を避けています。
※税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。事例2:資産の現金化と相続対策
60歳のFさんは、複数の不動産を所有していましたが、管理の手間や固定資産税などの維持費が負担となっています。また、子供たちへの相続を円滑に進めるために、生前から資産の整理と計画を立てる必要性を感じていました。
そのため、不動産の売却と資産の現金化を進めています。不動産市場の動向を専門家とともに資産価値を分析し、最適な売却のタイミングを選びました。信頼できる不動産業者を選べたため、物件の適正価格設定や売却活動を効果的に行うことに成功しています。加えて、不動産売却益に対する税金を最小限に抑えるため、税理士に相談して適切な申告と節税対策を実施しました。
相続対策として、自身を委託者兼受託者とし、子供たちを受益者とする家族信託を設立しています。そのため、自分が元気な間は資産の管理・運用を継続しつつ、将来的な資産継承を円滑に行えるようにしました。現金化した資産に関しては、定期預金や国債、個人向け社債などの安全性の高い金融商品に投資し、資産の保全を図っています。加えて、贈与税の非課税枠(年間110万円)を活用し、計画的に資金を贈与しました。
結果として、不動産の売却による物件管理や維持費の負担から解放され、相続手続きもスムーズになっています。家族間のトラブルを未然に防ぐことができました。
年代が違ったとしても共通する傾向
ここでは、年代が違ったとしても共通する傾向についてみていきましょう。とくに将来の備えに関しては、若年層から高齢となっても考え続ける必要があります。
どの年代も大切にする「将来への備え」
将来に備えるための考え方は、以下のような項目が代表的です。
- 経済的安定の追求:年代を問わず、経済的な安心を求める気持ちがある。生活費や教育費、老後の資金など、人生には多くのお金が必要。そのため、経済的な安定を求める。また、予期せぬ出費や収入の変化に対応しなければならないことから、資産を形成しておくことが大切。マイホームの購入や旅行、趣味の充実など、自分や家族の願いを叶えるための準備も重要
- 情報と教育の重要性:正しい知識に基づく投資判断が大切になる。そのため、投資商品や市場の仕組みを理解することが求められる。経済ニュースや専門家の意見を定期的にチェックし、市場の動きを把握することも大事。投資環境は常に変化するため、新しい知識やスキルを身につけることを意識する
- リスク管理の必要性:適切なリスクコントロールが資産形成や運用に大切。自分のリスク許容度を知り、リスク許容度に合った投資を選ぶ。そのうえで、複数の資産や商品に投資することで、1つの投資先の不調が全体に与える影響を小さくする。また、投資状況やライフステージの変化に応じて、ポートフォリオを見直す
テクノロジーによる投資の変化
年代ごとに好まれる投資商品はあるものの、テクノロジーを活用することで投資方法は変化しています。そのため、常にどのような投資方法があるのかを学ぶ必要があるといえるでしょう。
- デジタルツールの活用:オンライン取引や投資アプリが投資を身近になった。スマートフォンやパソコンから、どこにいても投資が可能になっている。また、ロボアドバイザーなど、AIが資産運用をサポートするサービスも登場している
- 情報アクセスが容易:インターネットで最新の投資情報を取得可能。株価や為替レートなど、最新の市場情報をすぐに確認できる。投資に関するオンライン講座や動画、記事などが豊富にあるため、自己学習も容易。また、新しい金融サービスや商品が次々と生まれているため、人工知能が市場データを分析し、投資判断を支援するツールが増えている
まとめ
人生の各ステージで、投資の目的や戦略は変化します。20代は長期的な視点でリスクを取った積極的な投資が可能で、30代・40代は安定と成長のバランスを求め、リスク管理が重要となります。50代以上では資産の保全と安定収入を重視し、リスクを抑えた投資が求められます。
どの年代でも将来への備えとして、正しい知識の習得と適切なリスクコントロールが不可欠です。テクノロジーの進化により、投資環境は大きく変化しており、年代に応じた最適な投資戦略を立てること重要となります。