金融商品の選び方。リスク管理とリターンの両立を目指す資産運用とは
2024.10.25資産運用をスタートする場合、金融商品には多数の種類があるため、悩むケースも多いのではないでしょうか。たとえば、預金や投資信託、株式などの商品はそれぞれ特徴があります。そして、適切な金融商品を選択するためには、各商品の基本的な特徴を理解し、バランスの取れたポートフォリオを構築することが大切です。
本記事では金融商品の基本を整理し、リスクとリターンのバランスを考慮した選び方や組み合わせ方を解説します。
金融商品の種類と特徴
ここでは、金融商品の種類と特徴についてみていきましょう。各商品のメリット・デメリットを把握することで、リスクを管理しながら、リターンを目指せます。
預金
預金は、金融機関にお金を預け、一定の利息を受け取る金融商品です。普通預金は自由に出し入れができ、定期預金は一定期間お金を預けることで少し高めの利息を得られます。他の金融商品と比較すると利息は低いケースが多いです。
- メリット:預金保険制度により、元本1,000万円が保証されるため、リスクは低い。定期預金の流動性は低いものの、普通預金の場合は高い流動性がある。
- デメリット:リターンが非常に低く、インフレが進んだ場合、実質的な購買力(資産価値)が下がる。
投資信託
投資信託は、複数の投資家から集めた資金をファンドとしてまとめ、専門の運用者がさまざまな資産(株式や債券など)に分散投資する商品です。個別に投資するよりもリスクが分散されているものの、運用手数料がかかる点は購入前に確認しておきましょう。
また、運用方法はインデックス型(日経平均株価やS&P500などの指標に合わせる)とアクティブ型(積極運用を目指す)の2種類があり、投資スタイルに合わせて選択できる点も特徴です。ただし、購入者のニーズではなく、ファンドによって最初から運用スタイルが決まっていため、慎重な銘柄選びが大切です。
- メリット:さまざまな資産に分散投資できるため、リスクが軽減できる。また、運用をプロに任せるため、運用の結果から冷静に今後の戦略を立てられる。
- デメリット:運用がマイナスになった場合でも、手数料は発生する。そのため、実質的な利益が減る可能性もある。
株式
株式は、企業が発行する証券です。株式の購入によって、権利の一部を所有することになります。株式投資は高いリターンが期待できるものの、企業の業績や経済状況に大きく左右されるリスクがある商品です。また、株価が上昇することで得られる売却益に加え、企業によっては配当金を受け取れます。
- メリット:高リターンの可能性があり、企業の成長による利益が期待できる。短期から長期まで戦略を立てられ、銘柄によっては配当金を得られるケースもある。
- デメリット:企業の動きだけでなく、経済動向や金利などにも影響を受ける。そのため、変動リスクが大きく、企業の倒産などによって投資した資金を失う可能性もある。個別企業のリスクが直に反映される。
債券
債券は、国や企業が資金調達のために発行する証券です。購入者は発行体に対して一定期間お金を貸すことになります。債券を購入した場合、投資家は定期的に利息(クーポン)を受け取り、満期時には元本が返済されます。債券には、国債や地方債、社債などさまざまな種類があります。
- メリット:安定した利息収入が得られやすい。元本が減少する可能性は低い。
- デメリット:市場金利が上昇すると、既発債券の価格が下がり、売却する場合に損失が発生する可能性がある。株式に比べてリターンが低いため、資産運用では他の商品との併用するケースも多い。
金銭信託
金銭信託は、銀行や信託銀行に資金を預け、運用のプロが資金を投資して運用する商品です。投資先は、リスクの低いものが多い点も1つの特徴です。預金よりも高い利回りが期待できるものの、選択する銘柄によっては元本保証がないケースもあります。
- メリット:プロが運用するため、個人で運用するよりも安定したリターンが期待できる。例として、預金よりも高い利回りが狙えたり、多様な運用先を選べたりする。
- デメリット:元本保証がない場合は、損失を被るリスクが高くなる。また、契約期間中に解約ができなケースが多いため、資金の流動性は低い。
個人年金保険
個人年金保険は、老後の生活資金を計画的に積み立てるための保険商品です。一定期間掛金を払うことで、定期的に年金として受け取れます。種類は、年金額が確定している「定額年金」と、運用成果によって受け取る額が変動する「変額年金」があります。
- メリット:安定的に老後資金を準備できる。公的年金を補完する役割を担える。定額型なら、元本割れの心配がない。
- デメリット:定額年金の場合、インフレに対応できない。そのため、将来的に受け取る年金の価値が下がる可能性もある。また、途中解約すると元本割れのリスクがある。
暗号資産
暗号資産は、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル資産です。代表的な暗号資産にはビットコインやイーサリアムなどがあります。取引所を通じて売買され、価格は需要と供給に基づいて変動している点も特徴です。
- メリット:分散型であるため、国や金融機関の影響を受けにくい。また、特定の市場の成長により、短期間で大きなリターンが得られる可能性もある。暗号通貨は国際的な送金手段としても使用され、迅速な取引ができる。
- デメリット:価格の変動が非常に大きく、資産価値が大幅に変動するリスクが高い。また、詐欺やハッキングのリスクも存在し、取引所の破綻などによって資産を失う可能性もある。
Pool
Poolは、固定利回りの短期投資とクレジットカードが一体となったサービスです。チャージした資金を運用するだけでなく、普段の支払いにも活用できる点が特徴といえます。少額から資金を運用できるため、手軽に資産運用を始められます。
- メリット:2ヶ月の短期運用のため流動性が高い。チャージした資金で運用をしながら、クレジットカードの利用枠としても使用できる。固定利回り年2%※で運用できる。
- デメリット:値動きなどのリスクはない分、大きな利益を狙うことは難しい。元本保証はない。
金融商品の選び方
資産運用を始める場合に、どの金融商品を選ぶかは重要なポイントです。自分に合った商品を選ぶためには、各商品の特徴やリスク、リターンのバランスを把握しましょう。ここでは、金融商品の選び方を「リスク許容度」「ライフステージ」「投資目的」などの観点から詳しく解説します。
リスク許容度に基づいて選ぶ
リスク許容度は、損失をどの程度まで許容できるかを表すものです。たとえば、リスクが高い金融商品ほどリターンが期待できるものの、損失のリスクも大きくなります。対して、リスクが低い金融商品は、大きなリターンを期待するのが難しいものの、高い安定性が特徴です。
自分に合った商品を選ぶには、次のようにリスクとリターンの関係を把握し、リスク許容度に応じた金融商品の選定が大切です。
高リスク商品(株式、暗号資産など)
株式や暗号資産は、短期間で大きなリターンが期待できます。しかし、大きな価格変動を伴い、元本割れのリスクも高いといえます。企業の成長や市場の動向に強く影響されるため、長期的な運用でリスクを平均化することも大切です。ただし、短期の価格変動に耐える必要があるため、冷静に対処しましょう。
低リスク商品(債券、預金など)
債券や預金は、リスクが低く、安定したリターンが期待できる金融商品です。元本が保証されている商品もあるため、リスクを取らずに安定的な利息収入が期待できます。
たとえば、債券の場合は政府や企業が発行しており、定期的な利息が支払われます。加えて、満期時には元本が返還される商品も多いといえます。しかし、リターンは低く、インフレによる実質的な価値の目減りにも注意しなければなりません。
Poolの場合は、長期的な資産運用だけでなく、短期運用も可能です。年利2%※で固定されていることに加え、2ヶ月の短期運用です。そのため、仮にインフレが起きた場合でも、Poolで運用した資金を別の投資商品に再投資するといった対処がしやすくなります。
※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。リスク許容度に合わせた投資戦略の立て方
リスク許容度を意識した投資戦略の立て方は次のようになります。
要素 | 傾向 | 推奨される投資戦略 |
---|---|---|
1. 収入の安定性 | 安定した収入があるため、リスクを取る余裕がある。 | 株式やリスクの高い投資信託など、成長に期待できる商品に投資する。収入が不安定な場合、債券や預金などのリスクの低い商品を選ぶ。 |
2. 投資経験 | 市場の変動を理解しているため、高リスク商品でも冷静に判断できる。 | 投資経験が豊富であれば、冷静に判断できるため、株式や暗号資産といった高リスク・高リターンの商品に投資しやすくなる。初心者であれば、債券や投資信託などの低リスク商品で経験を積む |
3. ライフステージ | 若年層は長期間の投資が可能でリスクを取れる。対して、シニア層はリスクを抑える必要がある。 | 若年層は株式や株式型の投資信託に多く投資する。シニア層は債券や個人年金保険など安定した商品を選び、リスクを減らす。 |
4. 投資目的 | 短期的な目標では、リスクを抑える。長期的な目標では、成長を見込める商品が適している。 | 短期的な目標では、預金や短期債券が適している。長期的には株式やインデックスファンドが有効。ただし、株式に関しては短期でも運用できるため、会社の事業内容や決算書、事業内から冷静に判断する。 |
5. 家族構成と支出 | 家族がいる場合や大きな支出が控えている場合は、リスクを抑えることが大切になる。 | 生活費や教育費などが多い場合、リスクの低い商品に重点を置く。家族がいない場合は、高リスク・高リターンの商品に挑戦する余裕がある。 |
ライフステージに合わせて選ぶ
金融商品の選び方として、ライフステージに合わせて、資産運用の方法を選択する方法もあります。若年層、中年層、シニア層でわけたうえで、各ライフステージにおける資産運用戦略についてみていきましょう。
若年層(20代〜30代)
若年層は、リスクを取って成長を追求できるライフステージであり、長期的な資産形成が可能です。損失を被った場合でも、時間をかけてリカバリーする余裕があるため、高リスク・高リターンの商品を選びやすいといえます。
- 特徴:長期的な運用が可能で、短期的な価格変動のリスクを許容できる。
- 戦略:株式や株式型の投資信託を積極的に活用する。月々一定額を積み立てる積立NISAやiDeCoなどの税制優遇制度も活用。
- 注意点:リスクを取りすぎないように、余裕資金で投資することが重要。
中年層(40代〜50代)
中年層は、リスクを取りつつも資産の安全性を確保するバランスが重要です。住宅購入や子供の教育費など、大きな支出が発生する時期でもあるため、リスクを分散しながら安定した資産運用を行うことが求められます。
- 特徴:安定した収入がある一方、将来の出費に備える必要がある。
- 戦略:株式と債券をバランスよく配分する「60/40ポートフォリオ」など、リスク分散型の戦略を取る。子供の教育費や住宅ローン返済に備えて、Poolや投資期間の短い預金などの流動性の高い商品も一部保有する。
- 注意点:老後の資金形成も視野に入れ、iDeCoや企業型確定拠出年金を活用して退職後の生活に備える。
シニア層(60代以上)
シニア層は、元本を意識しつつ、安定した収入を得ることが優先といえます。リタイア後の生活を支えるため、リスクを最小限に抑えた資産運用を行いましょう。
- 特徴:資産を減少させず、退職後の生活資金を確保する必要がある。
- 戦略:債券や定期預金、個人年金保険、Poolなど、リスクの低い商品に資産を移行・併用する。定期的な利息や配当を得られる商品で安定した収入を確保する。
- 注意点:インフレによる購買力の低下に備えて、一部の資金は株式などに投資し、資産の増加を図ることも検討する。
金融商品の組み合わせと資産運用の事例
ここでは、複数の金融商品の組み合わせと資産運用の実例について解説します。
リスク分散型ポートフォリオ
リスク分散型ポートフォリオは、リスクを抑えながら安定したリターンを追求するため、異なるリスクレベルの商品を組み合わせる投資戦略です。たとえば、次のように定期預金や投資信託、株式を組み合わせることで、価格変動リスクを軽減し、長期的な資産成長を図ります。
- 定期預金:リスクが低く、元本保証がある。リターンは低めだが、資産の一部を安全に管理できる。
- 投資信託:複数の株式や債券に分散投資できるため、個別リスクを抑えながらリターンを得られる。長期的な成長を目指した資産形成に適している。
- 株式:高リスク・高リターンの資産。成長性をポートフォリオに加え、リスク分散の中で長期的に利益を狙える。
また、Poolによって資金の流動性を高められるため、より効率的にポートフォリオを運用できるでしょう。分散投資の場合、長期的な運用も考慮したポートフォリオであるため、短期間で運用が完了する金融商品を併用することも大切です。
成長追求型ポートフォリオ
成長追求型ポートフォリオは、リスクを取ってでも高いリターンを追求する戦略です。リスク許容度が高い投資家向けとして、株式や暗号資産、ベンチャー投資といった高リスク商品を組み合わせ、大きな成長を目指します。
- 株式:成長株を中心に構成すれば、市場の上昇により高いリターンを期待できる。たとえば、新興市場や成長企業の株式に投資することで、短期的な利益を狙える。
- 暗号資産:ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、非常にボラティリティが高い。しかし、急成長の可能性があるため、ポートフォリオの一部としてリスクを取って投資する。
- ベンチャー投資:ベンチャー企業への投資は、成功すれば非常に高いリターンを得られる可能性がある。ただし、失敗のリスクも高い。
全体的にリスクが高い資産運用となるため、Poolを活用することで、リスクをコントロールした資産運用が可能なります。
まとめ
資産運用をスタートする場合は、各金融商品のリスクとリターンを正確に把握し、バランスの取れたポートフォリオを構築することが重要です。定期預金や投資信託、株式、債券といった各金融商品の特徴を把握し、メリット・デメリットまで含めて運用しましょう。また、Poolのような短期投資から長期投資まで対応できる金融商品であれば、資金の運用と日常の支払いを効率的に管理可能です。
そして、個々のリスク許容度やライフステージ、投資目的に基づいて戦略を立てる必要があります。リスクを分散させることで、効率的な資産運用につなげましょう。