債券とは? 向き・不向きな投資傾向とリスクを抑えながら資産を安定させる仕組みを解説

2025.07.25

特定の金融商品だけに偏った資産運用では、相場急変時に資産全体の変動幅が大きくなりがちです。しかし、金融商品の中でも債券は、価格の振れ幅が小さく収入の見通しが立ちやすい点から、ポートフォリオの安定要素として有効です。

本記事では、債券の基本とリスクや年齢・目的別の比率、債券を含んだ資産運用のモデルケースについてみていきましょう。

リスクを取らない投資──債券という選択肢

債券は、株式や不動産とは異なる「お金の運用」を実現する金融商品です。一言でいえば、国や企業にお金を貸すことで、金利を得る仕組みです。満期になれば元本が返ってくる(※破綻しなければ)ため、計画的・安定的な資産形成に向いています。

債券には次のような特徴があります。

  • 定期的な金利が得られる(インカムゲイン)
  • 満期まで保有すれば元本が返ってくる(原則)
  • 値動きが小さく、価格の安定性が高い
  • 予測可能性が高く、長期運用に向いている

また、債券の価格と市場金利は、基本的に逆の動きをしています。債券価格は「将来受け取る利息と元本」を 市場金利で現在価値に割り引いた合計で決まるため、市場金利が上がると現在価値は下がり、価格も下落します。逆に金利が下がれば現在価値が上がり、価格は上昇するという流れは把握しておきましょう。

そして、国債・社債・外貨建て債券などの種類に分かれ、それぞれにリスクとリターンのバランスがあります。 以下では、債券という選択肢がどのような投資スタイルや人に適しているのかについてみていきましょう。

債券に向く人、向かない人

投資における「向き・不向き」は、性格や資産状況、価値観によって異なります。債券は安全資産とよく言われる金融商品ですが、誰にでも完璧に合うわけではありません。以下の表では、「どんな人に債券が向いていて、逆にどんな人には物足りなく感じられるのか」を比較形式で整理しています。

判断軸向いている人の特徴向いていない人の特徴
リターンへの期待安定収益を求める短期で大きな利益を求める
価格変動への耐性値動きが少ない方が安心できる上下する資産を楽しめる
時間の使い方運用に手間をかけたくないマーケットを分析して動かしたい
投資スタイル長期・保守的短期・積極的
リスク許容度元本を減らしたくない元本割れも視野に入れられる

債券は 「資産の安定性を重視したい人」や「運用に時間をかけられない人」 に適しています。 一方で、価格の上下を見ながら売買のタイミングを狙う「トレーディング」や高いリターンを得るために一定の損失リスクを許容する「リスクテイク」に慣れている人にとっては、債券だけでは物足りなさを感じるケースも予想されます。

そのため、株式や投資信託などと組み合わせ、債券の安定性を活かしながら成長性も取り入れると、バランスの取れた運用につながります。

忙しい日々の中で“気にしない資産”を持つ価値

債券は、価格があまり動かないという理由から、株式や暗号資産のように大きな値上がりを狙えるわけでありません。しかし、実際には、変化が少ないという性質は、計画的な資産形成において重要な価値を持っています。
特に、将来のライフイベントに向けて確実に準備したい資金を扱う場合には、価格の安定性や収益の予測性が大きな安心材料になります。

債券が持つ「変わりにくさ」の強みについては以下のとおりです。

特性債券で得られること解説
安定収入定期的な金利の発生あらかじめ決まったペースで利払いがあるため、毎月の収支を読みやすい
将来予測のしやすさ満期日に向けて計画的に組み立てられる教育資金や住み替え資金など、使うタイミングが明確な資金と好相性
値動きの穏やかさ極端な上下が起きづらい市場全体が荒れても、大きく下がる可能性は相対的に低い
経済変動との相性金利と連動したロジック金利サイクルを踏まえた戦略的な選択が可能で、初心者にも扱いやすい構造

たとえば、3年後の引越し資金や10年後の教育資金など、使う目的と時期がはっきりしているお金を株式で保有している場合、 必要なタイミングで価格が下がっている可能性もあります。

対して、債券はいつ、いくら戻ってくるかの見通しが立てやすく、計画に沿った運用が可能です。 また、日々の値動きに左右されにくいため、資産全体の中でバランスが取りやすい点も特徴だといえます。

“変化が少ない”は、むしろ強み

債券は他の金融商品と比較しても、変化が少ないといえます。しかし、以下のような場合には、債券の活用が向いているでしょう。

  • 3年後の引っ越しや車の買い替えなど、時期が決まっている支出
  • 教育資金や住宅購入資金など、まとまった金額が必要になる計画
  • 日々の価格変動に気を取られず、お金のことを“気にしないで済む状態”を作りたい

債券は、予測しやすく、取り崩しやすい形でお金を保つことができる資産です。「今すぐ使うお金ではないけれど、将来的にはきちんと使いたいお金」の置き場として活用できます。

投資スタイルを選ぶ

債券投資といっても、投資スタイルにはいくつかの選択肢があります。 たとえば、「満期まで保有するのか」「途中で売買するのか」、あるいは「商品をどう組み合わせるか」によって、リターンの狙い方やリスクの取り方が変わってきます。

以下は、債券投資の代表的な3つのスタイルを簡潔に比較した表です。

スタイル運用スタンス特徴向いている人
積み上げ型満期まで保有安定的に金利と元本を受け取る長期で資産を守りたい人、忙しい人
回転型市場で売買金利変動や価格差を活用して利ざやを得る相場に慣れている人、積極的な投資家
ETF/投信型分散・少額投資少額から分散投資。自動運用も可能初心者、積立派、効率重視の人

ここでは、この3つの運用スタイルについて、それぞれの特徴と適性を詳しくみていきましょう。

満期まで持つ「積み上げ型」

シンプルで、保守的なスタイルです。 債券を購入し、あらかじめ定められた満期まで保有し続けることで、金利を受け取りつつ、元本の返還を待ちます。

このスタイルには、次のような特徴があります。

  • 金利収入を安定して得られる(例:年2回、金利支払いがある債券など)
  • 満期まで保有すれば価格変動による損失を回避できる
  • 売買のタイミング判断や相場の読みが不要
  • 長期保有を前提とするため、途中で資金が必要になると売却リスクが発生する

向いているのは、長期的な資金計画に沿って静かに資産を積み上げたい人日々の相場を気にせず“ほったらかし”で運用したい人です。

注意点は以下のとおりです。

  • 満期まで資金を動かせないため、急な出費には対応しづらい
  • 中途解約すると、市場の状況によっては元本割れになる可能性がある
  • 金利が上昇すると、他の商品と比較して利回り面で見劣りすることがある

市場で売買する「回転型」

債券にも価格変動がある以上、売買のタイミングによっては利ざや(キャピタルゲイン)を得ることができます。 金利の動きや需給の変化に応じて債券を売買し、短期〜中期の利益を狙うスタイルです。

運用方法の特徴は以下のとおりです。

  • 金利の上下や債券価格の変動を利用して、売却益を狙える
  • 市場の分析力やタイミングの判断が求められる
  • 長期保有前提ではないため、流動性(いつでも売れること)が重要
  • 価格変動により、元本割れのリスクを取ることになる

比較的アクティブな投資スタイルであり、向いているのは、市場の動きを読むのが得意な人や、 株式などのトレーディングに慣れている人が債券でも戦略的に動きたいときです。

注意点は以下のとおりです。

  • 金利が予想と逆に動くと大きな損失を出す可能性がある
  • タイミング判断に慣れていないと、"持っていればよかった”という状況にもなりえる
  • 短期の売買を繰り返すと、手数料や税負担がかさむ

債券ETFや投資信託という選択肢

債券を1本ずつ選んで買うのではなく、ETFや投資信託を通じて複数の債券にまとめて投資するスタイルです。
少額から始められ、分散や自動積立にも対応しているため、とくに初心者にとっては選びやすい選択肢となっています。

このスタイルには、次のような特徴があります。

  • 1つの商品で複数の債券に分散投資ができる
  • ETFは株式のようにリアルタイムで売買可能
  • 投資信託は積立設定や分配金の自動再投資に対応しており、手間が少ない
  • 少額(数千円程度)からでも始められる

注意点は以下のとおりです。

  • 投資信託には信託報酬(運用コスト)がかかる
  • 商品の中身(組み入れられている債券)を把握しにくいことがある
  • 分配金の方針が商品によって異なるため、期待とズレることがある

とくに、債券にはじめて触れる人や毎月コツコツ積み立てをしたい人に向いています。 また、株式のようなリスク資産の変動を和らげる役割にも期待可能です。

ライフステージと債券の距離感

資産運用における「債券との向き合い方」は、年齢やライフイベントによって変わっていきます。
20代から30代はリターンを重視して株式中心になりがちです。しかし、将来に向けて資産を守る意識が高まるにつれ、債券の役割も変わっていきます。

以下では、20代から60代以降までのライフステージ別に、債券との付き合い方をみていきましょう。

20〜30代:資産形成手段の1つとして

20代から30代は、リスクを取りやすく、資産を大きく増やすチャンスも多い時期です。 運用の傾向として、どうしても株式や投資信託が中心になりがちであるため、全体のバランスを整える意味で債券を一部に組み込む方法も有効です。

たとえば、以下のような債券の運用方法であれば、「少し攻めた運用がしたい」というニーズも満たせます。

  • 債券を加えることで、値動きの大きさを抑える効果がある
  • 外貨建て債券や債券ETFなどで、少しリスクを取りながら利回りも狙える
  • 積立型の債券投信を使えば、手間なく習慣的に資産形成を進められる

将来の支出に備える目的で、少しずつ“使用できる安定資産”を作っておくことにつながります。

40〜50代:守りと攻めのバランスを見直す

40代から50代は、子育てや住宅ローンなど支出も多い世代です。住宅ローンの返済や子育てなど、大きな出費が重なる時期でもあります。 一方で、老後や教育費に向けた資産の準備も始めなければならず、「増やす」と「守る」のバランスが問われる時期です。

  • リスクを抑えつつ利回りを確保できる債券は、家計を支える“安定収入源”として役立つ
  • 株式中心だった運用を、少しずつ債券比率を高めることで安定志向にシフトできる
  • 必要に応じて外債やインフレ対応型債券も組み合わせて、将来の物価上昇にも備えられる

攻めだけでなく、守りの要素として債券をうまく取り入れることで、資産全体のリスクを整えることにつながります。

60代以降:資産を減らさずに活かす

定年退職後は収入が年金などに限られ、資産が生活の柱になります。 そのため、以下のように資産を減らさない運用で“守りながら資産を活かす”ことが求められる段階です。

  • 金利収入によって、生活費の一部をカバーできる
  • 個人向け国債や短期債券など、安全性の高い商品を中心に構成できる
  • 満期や償還時期が分かりやすいので、取り崩しのタイミングを管理しやすい

必要なのは、「大きく増やす」よりも、「減らさずに取り崩す」ことであり、債券は目的に合う資産だといえます。

債券を含んだポートフォリオのモデルケース

資産運用では、リスクと安定のバランスを取ることが欠かせません。債券はリターンを大きく伸ばす資産ではないものの、ポートフォリオ全体を整える存在です。ここでは、ポートフォリオに債券をどう取り入れるかについてみていきましょう。

債券と他資産の組み合わせ例

債券は、他の資産とのバランスの中で力を発揮します。 以下は、目的やリスク許容度に応じた資産配分の例です。

タイプ債券株式その他(REIT・外貨など)特徴
安定重視型70%20%10%債券中心で価格変動を抑える。定年後や生活防衛資金に
バランス型50%40%10%株式の成長性と債券の安定性を両立。中長期の資産形成に
成長重視型20%70%10%成長を狙いつつ、債券で最低限の守りを確保。若年層向け

債券の比率は「年齢」や「目的」、「精神的な安心感」に応じて変えるものだといえます。 一律に債券の保有割合に正解というものはなく、ライフスタイルや性格に合わせて設計しましょう。

目的別に見る債券商品の活用法

債券は「何のために使うか」によって、選ぶ商品やスタイルが異なります。 自分の目的に合った債券を選ぶことで、無理のない運用が可能です。

目的向いている債券活用のポイント
安定した金利収入がほしい個人向け国債・社債定期的に利払いがある固定金利型が安心
将来の資金に備えたい満期が明確な国債教育費・住宅購入など“時期が読める支出”に合わせて満期設定
手間をかけずに運用したい債券ETF・投資信託分散済で、積立・再投資もできる。忙しい人向け
外貨にも分散したい外債・外貨建て債券為替リスクに注意しつつ、高金利を狙う。中上級者向け
暴落時の守りに備えたい国債・短期債流動性が高く、安全性も高い資産として“保険”的に活用

債券は「目的があるから選ぶ」という視点が重要です。 自分の状況に合わせた意味のある債券を組みいれることが重要です。

また、間接的な資産運用の一例として、カンムが提供するサービス「Pool」も活用できます。 Poolでは、チャージした資金を活用し、固定利回り2%の投資が可能です。投資中の資金もクレジットカードの利用枠に使えるため、「運用と日常の決済」の両立もできます。

「固定利回りで運用しながら、必要なときに決済に利用する柔軟性」を重視する人に適しています。

※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。

まとめ

債券は「値動きが少なく、金利収入で資金計画を立てやすくする資産」です。若年層が成長資産中心の運用に債券を10〜30%ほど加えると、下落局面でもポートフォリオ全体のブレを抑えやすくなります。

退職が近づく年代では、債券比率を60%前後まで高めることで生活資金を守りながら取り崩しの計画を立てやすくなります。個人向け国債や債券 ETF に加え、Pool のように少額から運用と決済を一体化できるサービスを選ぶことで、専門知識に自信がない人でも資産運用に取り組みやすくなるといえるでしょう。

ポートフォリオは一度決めて終わりではなく、家計や市場環境の変化に合わせて定期的に見直し、債券と他資産のバランスを調整していくことが長期的な資産形成につながります。

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