AI投資のメリットとデメリットとは。併用事例まで徹底解説!
2024.11.15AI(人工知能)はさまざまな分野で活用されており、資産運用の分野においてもAIを活用した投資が行われています。AI投資は、膨大なデータを短時間で分析し、市場のトレンドを的確に予測するだけでなく、感情に左右されない冷静な投資判断を可能にしています。
では、AI投資のメリットとデメリットはどういったもので、どのように活用できるのでしょうか。本記事では、AI投資の概要とメリット・デメリット、併用事例について解説します。
AI投資とは?
AI投資とは、人工知能(AI)を活用した資産運用を意味する言葉です。AIを利用し、ファンド形式で、次のような商品に投資します。
- 株式
- 債券
- 不動産
- 金
また、AIによって分析や予測、売買する手法であるため、人間の手を必要としません。大量のデータを短時間で分析し、投資判断を自動的に下すことができるため、初心者から上級者まで活用しやすいサービスだといえるでしょう。
従来の投資では、ファンダメンタル分析やテクニカル分析を投資家が手動で行っていました。対して、AIがこれまでの分析を効率化し、市場感情や非構造化データ(SNSの投稿やニュース記事など)も取り入れた高度な分析を実施することが可能です。
代表的な商品には、株式会社SBI証券の「SBIラップ」や株式会社FOLIOの「ROBOPRO」などがあります。
AI投資で活用されている仕組み
AI投資で活用されている仕組みについて詳しくみていきましょう。実際に、どのような仕組みで投資が行われているのかを把握できれば、人の手による投資とAIによる投資の違いを明確にできます。
機械学習
機械学習は、AIが過去のデータから学習し、未来の市場の動きを予測するために使用される技術です。機械学習には、教師あり学習(過去のデータに基づいて正解を学習する手法)と教師なし学習(正解のないデータを分析してパターンを見つけ出す手法)があります。
たとえば、AIは過去10年分の株価データや経済指標から、今後半年間の株価の動きを予測可能です。市場の変動要因を学習すれば、トレンドを把握や将来の価格変動を予測しやすくなるといえます。
自然言語処理
自然言語処理は、AIが文法・文脈からテキストデータを理解し、分析する技術です。ニュース記事やSNSの投稿、企業のプレスリリースなどの非構造化データを処理し、市場感情や重要な情報を抽出可能です。
たとえば、ある企業に関するニュースがポジティブな内容だったとしましょう。その場合、株価上昇の可能性が高いと判断し、買いのポジションを取るように反応できます。反対に、ネガティブなニュースが多ければ、売りの判断を自動的に行います。
強化学習
強化学習は、AIが試行錯誤を行い、最適な行動を学習する技術です。投資においては、AIが過去の売買の成功や失敗を元に、どのタイミングで買うか売るかを学習します。そのため、長期だけでなく、短期的な利益を追求するトレードにも対応可能です。
強化学習を活用すれば、リスクとリターンのバランスを最適化でき、トレードごとにそのパフォーマンスを改善していくこともできます。
AI投資のメリットとデメリット
ここでは、AI投資のメリットとデメリットについてみていきましょう。AI投資は、膨大なデータを短時間で分析し、市場のトレンドを的確に予測できます。そして、感情に左右されない冷静な投資判断を可能にします。 しかし、適用されている仕組みのブラックボックス化や市場の予測不可能性など、デメリットも無視できません。
AI投資のメリット
まずは、AI投資のメリットからみていきます。とくにデータを活用した投資判断や分析力に優れており、投資初心者であっても投資後の予想が立てやすい点などはメリットだといえるでしょう。
大量のデータ分析が可能
AI投資の強みは、大量のデータを高速で分析できる点です。これまでは、人間の手で、企業の財務データや経済指標、業界レポートなどを手作業で分析しなければ判断を下せませんでした。しかし、AI投資では、人間には到底処理しきれない量のデータを一度に処理し、瞬時に市場全体のトレンドやリスク要因を把握できます。
たとえば、AIは数百万件の企業の財務データや歴史的な価格動向、リアルタイムのニュース、SNSやブログなどの非構造化データも解析可能です。また、非構造化データには、市場感情を反映した重要な情報が含まれます。
加えて、AIはデータを元にパターンを認識し、未来のトレンドを予測可能です。過去の成功パターンや失敗パターンを参考に、今後どのように再現されるかを予測できるため、一見無関係なデータからでも投資機会を発見できます。
感情に左右されない
人間による投資は、感情による判断ミスが起こりやすいといえます。とくに、投資の場合は恐怖や欲望、パニックに基づく非合理的な売買が大きな損失を生む要因になります。市場が急変した際、感情に左右された場合は冷静な判断を下せず、結果的に利益を逃すか、損失を拡大させるケースも少なくありません。
そのうえで、AIは、感情的な影響を一切受けない点がメリットになります。AIの投資判断はすべてデータに基づいているため、マーケットが大きく変動しても冷静かつ合理的な判断を下し続けます。そのため、株価の暴落が起きた際にパニック売りを防ぎ、適切な売買タイミングを計ることが可能です。
24時間365日稼働と自動化
AI投資のメリットとして、24時間365日稼働できる点が挙げられます。人間のトレーダーや投資家は、睡眠や休息が必要です。しかし、AIは休むことなく常に市場の動きを監視し、最適なタイミングで取引できます。
たとえば、ニューヨークやロンドン、東京市場ではそれぞれ開く時間が異なります。AIは開かれた市場をリアルタイムで監視し、どの市場でも最適な投資機会を見逃さずに捉えられる点はメリットです。
また、AIは取引を完全に自動化可能です。事前に設定した条件に従い、特定の価格帯に達した場合は、自動的に株を売買できます。投資家の労力を軽減し、市場のチャンスを逃さないための手段として非常に有効だといえるでしょう。
AI投資のデメリット
AI投資のデメリットについて解説します。結果の推測が難しい点や発生するコスト計算が必須となる点は知っておきましょう。
ブラックボックス問題
ブラックボックス問題はAIを使用する限りつきまとう問題です。AIアルゴリズムは、高度な処理を行うものの、その過程が外部からは理解しにくいというものです。たとえば、AIがどのデータをどのように処理して、最終的な投資判断に至ったのかを追跡するのは難しいといえるでしょう。
また、AI投資が結果として失敗した場合に、その原因を特定することが難しく、次にどう改善すべきかを判断する材料が得られにくい点もデメリットです。AIは過去のデータを元に判断を下すため、新しいタイプのリスクや市場の変動要因に対して柔軟に対応するには限界があるといえます。
市場に対するAIの限界
AIは過去のデータやパターンに基づいて市場の動きを予測します。しかし、すべての出来事が予測できるわけではありません。たとえば、日経平均株価などの指標に対して、予測不可能な大規模な市場変動が発生した場合は、過去のデータに基づいた予測が役に立たないケースもあるといえます。
コストが発生する
AI投資を継続して行うためには、コストが発生します。証券会社や金融機関の専門的なプラットフォームやサービスを利用したうえで、手数料や銘柄を保有した場合は、信託報酬がかかる点はデメリットです。
しかし、簡単な設定によって投資が可能となるため、投資初心者や技術に詳しくない場合でも活用しやすい点はメリットといえます。
AI投資と他の投資手段との比較
ここでは、 AI投資と他の投資手段についてみていきましょう。
株式投資 vs AI投資
株式投資では、企業の業績や市場動向を分析したうえで投資を行います。多くの場合、企業の財務状況や経済情勢、ニュースなどを手動で調査することになります。伝統的な株式投資は、経験と直感が重要な要素となり、長期的な投資戦略や特定の業界への集中投資を行いやすい点が特徴です。
たとえば、長期的な企業分析に基づく投資が可能であるため、信頼できる企業や好みのセクターに焦点を絞った戦略を立てられます。
AI投資は、膨大なデータを解析し、AIアルゴリズムが自動的に投資判断を行います。過去のデータやリアルタイムの市場データをもとにして、売買のタイミングや銘柄選択を迅速かつ正確に行うことが可能です。
大量のデータを一瞬で処理し、市場の動きをリアルタイムで分析できるため、人間では見落としがちなチャンスも捉えることができます。また、どんな場面でも感情に左右されない冷静な判断が可能であるため、効率的な短期取引もしやすいといえます。
一般的なロボアドバイザー vs AI投資
ロボアドバイザーは、アルゴリズムに基づいてポートフォリオを自動的に管理してくれるサービスです。リスク許容度や目標を入力することで、ロボアドバイザーが最適なポートフォリオを組み、運用を行います。主に長期投資や分散投資がしやすく、投資初心者や上級者からまで活用できる便利なツールです。
AI投資は、ロボアドバイザーよりも高度なアルゴリズムを使用して、個別の銘柄や市場の変化に対応した投資戦略を実行可能です。市場の複雑なデータを解析し、短期的なトレンドや市場の微妙な動きを捉えることができます。たとえば、より複雑で高度なアルゴリズムに基づいて、柔軟で精度の高い投資判断を実行できため、市場の変化に敏感に反応し、高いリターンを狙いやすい点はメリットです。
たとえば、SBIラップのAI投資コースやSBI証券のROBOPROは代表的なAI機能付きのロボアドバイザーです。選択するサービスによってAIを活用しているかどうかが異なるため、商品説明をよく確認する必要があります。
AI投資とPoolの併用で得られる効果
ここでは、AI投資とPoolを併用することで得られる効果についてみていきましょう。Poolは、固定利回り2%※の短期投資とクレジットカードが一体となったサービスです。
投資した金額がクレジットカードの利用可能額としてショッピングで利用でき、1%のキャッシュバックを受けられます。そのため、運用を行いながら、短期的な支出に対応できる点もメリットです。
PoolとAI投資を併用することで、固定金利2%の恩恵を受けつつ、効率的な資産形成が可能となります。AI投資の柔軟なリバランス機能を活用し、市場の変動に応じてポートフォリオを調整すれば、より高いリターンを狙える点がポイントです。
AI投資のリバランス機能は、ポートフォリオ内の資産配分を常に最適化します。たとえば、Poolで積み立てつつ、AI投資を活用すれば、個別株やコモディティといった多様な資産クラスに資金を分散可能です。結果として、リスクとリターンのバランスを保ちやすくなります。また、市場が変動してもポートフォリオ全体のパフォーマンスを維持しやすく、短期的なリスクを抑えながら長期的な成長を目指すことが可能です。
投資経験者の視点でも、データに基づいた投資戦略が取れるという点は大きな魅力です。AIは過去の膨大な市場データや経済指標を学習し、パターンや相関関係を見つけ出して将来の市場動向を予測します。そのため、短期的な取引においてもリスクを抑えつつ、効率的に利益を追求できるためです。
※ 税引前の数字。運用成果を保証するものではありません。AI投資の将来性
AIに関連する技術は、急速に進化しており、将来的には洗練された投資手法が開発されると予想されます。ここでは、AI投資の将来性について、アルゴリズムの進化や市場の変化への対応力といった側面から詳しく解説します。
アルゴリズムの進化に期待できる
AI技術は日々進化しており、将来的にはより精度の高い投資判断が可能になると期待されています。従来のアルゴリズムは、基本的に過去の統計データをもとにした単純なモデルで構築されていました。しかし、機械学習ではAIが大量のデータを自己学習することで、データに内在する複雑なパターンを認識可能です。
たとえば、単に株価の上下動を予測するだけでなく、企業の決算内容やマクロ経済の動向を深く把握し、その内容から投資戦略を構築することも期待できます。将来的には、技術の進化によって、投資判断の精度がさらに向上し、より複雑な市場分析を迅速に行えるようになるでしょう。
市場の変化に対応するAI投資
市場は常に変動し続ける環境にあり、これまでの技術では、変動予測が難しかったケースも多かったといえます。しかし、AI投資に関しては、今後急な市場変動に柔軟かつ迅速に対応できるようになる可能性があります。
たとえば、リアルタイムで市場のデータを取り込み、リスク回避行動を自動的に取ることもできます。また、新しい市場状況に適応する学習能力を持てるようになるため、変化する市場の動向に合わせて未来の投資戦略を立てることもできるでしょう。
まとめ
AI投資は、膨大なデータを迅速に分析したうえで、感情に左右されない合理的な投資判断を可能にする投資です。短期的な市場の変動やトレンドを素早く捉えられるため、初心者から上級者まで幅広く活用できるメリットがあります。一方で、AI投資にはブラックボックス問題や市場の変動予測に対応しきれないといったデメリットも存在します。
今後、AIは進化し、投資判断の精度や市場対応力も向上することが予想されます。AI投資のメリットを理解し、リスク管理をしながら上手に活用すれば、将来的に大きなリターンを得る可能性を広げることが可能です。